Process Systems Engineering Laboratory
Department of Chemical Engineering
Kyoto University

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PSE (Salvador, Brazil) 参加報告

2009年8月,殿村 修 助教

ブラジルの古都,サルバドールに1週間弱,滞在していました。添付写真の通り,サルバドールには美しい教会が残り,カラフルな色に塗り分けられた建物が印象的でした。1985年には,ユネスコ世界文化遺産に指定されました。人口は約270万人。ブラジル国内ではサンパウロ,リオデジャネイロに次ぐ3番目に人口の多い都市です。サルバドールの正式名称は,サン・サルバドール・ダ・バイーア・デ・トードス・オス・サントスで,「諸聖人の湾の,聖なる救世主」を意味するとか。食のレベルは高く,バイーア料理,シュラスコ,スコルビア,カサッシャ等が有名で,お手頃価格で美味でした。

さて本題に。滞在目的は,3年毎に開催されるPSE国際シンポジウムへの参加および発表でした。主に化学・石油化学プロセス産業の計画・設計・運転・制御・管理のための方法論を発表・議論する場が提供されます。2009年のPSE国際シンポジウム(PSE'09)の参加者数は365人(内ブラジルから196人),学側参加者の割合が高く,日本からは計6名。プレナリー講演10件,キーノート23件,口頭発表114件,ポスター発表226件のプログラム構成でした。熱のある発表が沢山ありました。

サスティナブルな,サバイバブルな社会の構築を目指した研究開発が加速されています。PSE技術は奥が深いですが,そのコアはモデリング,シミュレーション,最適化でしょう。今そして今後のトレンドは,それらのコア,制御/診断,プランニング/スケジューリング/ロジスティクス,プロダクト/プロセス設計の更なる発展,ロバストなシステム開発,そして,定常・非定常モデルの大規模化,ハイブリッド化,マルチスケール化,詳細化(CFDやMM),低次元化,並列計算化,に関するものであると思います。システムバウンダリーの拡がった問題の大規模さ・複雑さを,全体論的にどうマネージメントするかはPSEの得意とするところでしょう。

研究発表を幾つか紹介すると,推定技術に於いて,MHE や Constrained EnKF の適用例の他,MR技術から得られる2Dや3Dの情報とCFDモデルを用いた研究事例紹介がありました。また,グレード転換,PSAやSMBといったサイクリックプロセスに対してD-RTOを適用した研究事例紹介がありました。さらに,マイクロ熱交換器開発,Molecular-Inspired Parallel Tempering 法による最適化,Kriging 法による設計,実験の重要性を訴える発表もありました。

PSE技術は今や,従来の化学プロセスの枠に囚われることなく,お国事情に左右されたりして,バイオ・ポリマープロセス,マイクロプロセス,製薬プロセス,食品プロセス,エネルギーシステム,水等の資源問題,地球環境,といった新興分野へ浸透しています。対象が複雑で馴染みがないこともしばしばで,異分野に属する研究者との共同作業は増加すると思います。PSEに携わる者としては,大胆かつ繊細に取り組みたいところです。

有名タイヤメーカのCAEによる開発事例紹介のように,ソフトウェアの単なるユーザとならず,ソフトウェアをインテグレーションする話は新しくはないと思いますが,如何にソフトウェアをインテグレーションして如何にアウトプットに繋げていくか,重要な課題の1つでしょう。それから,Cyberinfrastructure という言葉・話は印象的でした。インターネット技術をうまく使い,異国や異研究機関の人間同士が,データを共有・活用しながら,そして,コミュニケーションを図りながら,実験テーマ・研究課題解決に取り組むシステム・プログラムが紹介されていました。欧米の動向を注視しつつも,日本が中心となって東アジア圏で取り組むことを考えてもよいでしょう。教育の観点からは,仲間と協同して何かを成し遂げる力を身につけることに繋がるでしょう。それに,拡大する様々な知識にどう対応すればよいか,ウェブ技術が1つの鍵になるかもしれません。ただ,ソフト・ハードの進展によって,詳細を知らずして,モデル化や最適化ができる環境が身近になっていることをどう捉えるべきかという意見も出ていましたし,議論が必要でしょう。

長文へのお付き合い有り難うございました。本学会期間中にプロシーディング作成・配布が間に合わなかったとのことで,後日郵送されてきます。次回の PSE-2012 は Singapore で開催予定です。

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